くも膜下出血とはどんな病気なのか?|亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~|亀戸の脳神経・脊髄クリニック

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くも膜下出血とはどんな病気なのか?

突然頭が痛くなったときに、考えられる脳の病気の中でも、特に命にかかわる可能性の高い病気はくも膜下出血です。

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くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)は、文字通り脳の周囲にある膜の一つである「くも膜」の下に血液が流れ込む状態をさします。これは非常に危険な病態ですが、一方で発症早期に診断できて適確な治療を受けることができれば、命が助かる場合もあります。重篤な後遺症を残すかどうか、いかに早く画像診断がきちんとできる病院にたどり着くかどうかにかかってきます。正しい知識を持つことが大切ですので、くも膜下出血の概要、原因、症状、診断、治療、予防について説明します。

くも膜下出血とは何か?

くも膜下出血は、脳を保護する膜(硬膜、くも膜、軟膜の3つの膜を髄膜といいます)のうち、くも膜と脳の間に血液が流れ込む状態です。通常、この空間には脳脊髄液が流れており、脳を守る役割を果たしていますが、ここに顔を出している動脈のこぶが破裂して勢いよく大量の血液が流れ込むと脳圧が一気に上がり、脳に深刻な影響を及ぼします。

くも膜下出血の多くはきわめて短時間で出血が脳のまわりに流れ込むので突然起こったように感じますし、それゆえに時間を争う迅速な対応が必要なります。主な原因は脳動脈瘤の破裂ですが、頭部外傷や脳血管の異常も関係することがあります。

くも膜下出血の原因

くも膜下出血の主な原因は、脳内の動脈がこぶ(瘤)のように膨らむ「脳動脈瘤」の破裂です。脳動脈瘤は、動脈壁(血管の壁)が弱くなることで形成されます。

以下にどのような人が脳動脈瘤を作りやすいかを書き出してみます。

・高血圧、動脈硬化の原因となる脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病

・喫煙

・家族や親せきに脳動脈瘤があったりくも膜下出血の既往があったりする

・遺伝性疾患や血管が弱くなる病気:多発のう胞腎、エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群、脳動静脈奇形

・頭部外傷や感染症

・虫歯の原因となる歯周病菌

破裂するまでは脳動脈瘤は無症状でいることが多いため、ある日突然のくも膜下出血として発生することがあります。

事前に脳ドックなどで頭部MRI/MRAを行って脳動脈瘤の有無を確認していれば、その危険性を避けることができます。当クリニックでは、頭の画像検査をする際に、リスクのある年齢の場合は可能なかぎり頭部MRAも行い、脳動脈瘤の発見に努めています。

出血したときにどのような症状になるのか

くも膜下出血は突然起こることが多く、1分以内にピークに達する頭の痛みになります。典型的な症状として

「今までに経験したことがないほどの激しい頭痛」

「ハンマーあるいはバットで殴られたような痛み」

「雷に打たれたような痛み」

と表現され、つまりは急にものすごい強烈な痛みとして現れます。

このほか、次のような症状がみられることがあります。

・吐き気や嘔吐: 激しい頭痛と共に吐き気や嘔吐が起こることがあります。

・意識障害: 意識がもうろうとなりますし、出血が多くて重篤な場合は、意識が完全に失われる(昏睡状態)ことがあります。

・けいれん発作: 体が急に痙攣することがあります。

・視覚異常、言語障害、四肢の麻痺やしびれ: 出血のしかたによっては、視力低下や二重に見えるなどの視覚に関する異常やろれつがまわらない、言葉が出てこないなどの言語障害が出現します。また一部の患者では、手足の感覚が鈍くなったり、麻痺したりすることもあります。

くも膜下出血が疑われる場合、出血がひろがるよりも早く、すぐに医療機関に連絡することが重要です。時間との勝負になるため、本人もしくはそばにいる方の早急な対応が命を救うことにつながります。

診断の仕方について

くも膜下出血の診断には、主に画像診断が用いられます。以下のような検査が一般的です。

・CT: 頭部CTは、くも膜下出血を迅速に診断するのに有効です。CTは出血の有無を確認し、血液がどこにあるかを詳細に把握することができます。

・MRI: MRIは、CTに比べてより精密な画像が得られるため、詳細な評価に使われることがあります。撮影時間がCTより長く、トンネルの機械の中に入るために急変する可能性のある場合の検査としては適していません。ただし、少し前に激しい頭痛が起きて、撮影時に症状が落ち着いていれば、より精密に脳の状況を確認でき、さらには脳動脈瘤があるかどうかをMRAという脳血管をみる検査で確認できます。

・脳血管造影: 血管の状態を詳しく見るために、脳血管造影が行われることがあります。これは、大きな病院にしかない機械で、入院して行う検査です。動脈瘤の場所や形状を特定するのに役立ちます。

くも膜下出血が確認された場合、緊急の治療が必要になります。

脳動脈瘤が破裂した場合の治療はこの2つ

くも膜下出血の治療は、出血の原因や患者の状態によって異なります。主に次のような方法があります。

・手術(クリッピング術): 破裂した動脈瘤の根元をチタンという金属のクリップで閉じて出血を止める方法です。頭蓋骨を開けて行う(開頭)手術で、確実な治療が期待できます。

・血管内治療(コイル塞栓術): 動脈瘤の内部にプラチナ製のコイルを詰めて、血液が流れ込まないようにする方法です。カテーテルを使って動脈瘤にコイルを挿入するため、開頭手術に比べて侵襲が少ないとされています。ただし、この治療中に出血した場合には、開頭手術にすぐに切り替えて治療をする場合もあります。

治療後は、再出血を防ぐための管理が重要です。また、脳の機能回復を目指したリハビリテーションも行われます。

出血した後も合併症と後遺症に注意

くも膜下出血は、命に関わる合併症を引き起こすことがあります。例えば、「脳血管攣縮」という状態は、出血後に血管が収縮して脳への血流が減少し、脳梗塞を引き起こすことがあります。また、「水頭症」と呼ばれる脳脊髄液が頭蓋内にたまり、脳の内側から圧力をかける状態も合併症として現れることがあります。

くも膜下出血から回復した後も、言語障害や記憶障害、運動機能の低下など、さまざまな後遺症が残ることがあります。これらの後遺症に対しては、専門的なリハビリテーションが行われます。

このように予防しましょう

くも膜下出血を予防するためには、脳動脈瘤の発生や破裂リスクを減らす生活習慣が大切です。(2.原因を参照してください)

・高血圧の管理: 高血圧は動脈瘤の破裂リスクを高めるため、血圧を正常範囲内に保つことが重要です。塩分を控えた食事や適度な運動が推奨されます。

・禁煙: 喫煙は動脈壁を脆弱にし、動脈瘤のリスクを高めます。喫煙を控えることが、予防に効果的です。

・適度な運動: 運動は血管の健康を保つのに役立ちますが、激しい運動は避け、適度な負荷の運動を心がけることが大切です。

・定期的な健康診断: 特に家族に脳動脈瘤やくも膜下出血の既往歴がある方は、定期的な検診や脳ドックを受けることで、動脈瘤の早期発見が可能です。

・虫歯の治療: 歯周病菌も原因として知られていることもあり、虫歯の治療や定期的な歯のメンテナンスも大切です。

当クリニックでの治療

くも膜下出血を起こした場合、絶対に入院しての治療が必要になります。当クリニックでは緊急に対応した治療は難しく、激しい頭痛とともに「出血したときにどのような症状になるのか」に述べたような症状がある場合は、すぐに救急対応のできる病院を受診してください。もちろん、救急搬送が必要になります。

当クリニックでは、頭痛の原因が危険なものかどうか、もしくは脳動脈瘤があるかどうかを確認するためにMRI/MRA画像検査を行います。

くも膜下出血と診断された場合、もしくは出血はないけど破裂するリスクの高い脳動脈瘤を認めた場合は、救急で近隣の治療が可能な病院に紹介することになります。

脳動脈瘤が見つかった場合は、破裂するリスクが低いと判断されれば、引き続き定期的にMRI/MRAを行いながら変化がないか、危険度が上がっていないかを確認して経過を診ていきます。動脈瘤かどうか判断が難しい場合は、画像専門クリニックを紹介して造影剤を用いた検査(CTアンギオといいます)を行って確認していきます(当日もしくは数日で結果がわかります)。

まとめ

くも膜下出血は突然発生し、命に関わる非常に危険な病態です。典型的な症状である激しい頭痛を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡し、適切な処置を受けることが重要です。また、日頃から高血圧の管理や健康的な生活習慣を心がけることで、リスクを軽減することが可能となります。

 

 

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