マスクをつけることで起こる頭痛|亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~|亀戸の脳神経・脊髄クリニック

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マスクをつけることで起こる頭痛

こんにちは

亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~の院長の田宮です。

 

 ところで、この暑い時期コロナ第7波の感染拡大により、東京の感染者も連日30000人前後。感染拡大防止のために、人前ではマスクを着用することが当たり前になっていますが、その一方でマスクによって引き起こされる頭痛に悩まされている人がいることもわかってきています。特に夏の暑さ本番となってから多くなってきているようで、クリニックの診療でも来院されたあの人の頭痛も、実はマスクが原因だったのではないかという思うこともありました。

 マスクをつける機会が多く、今までにないような頭痛がある方は、もしかしたらいわゆる「マスク頭痛」になっているのかもしれません。さらにもともと片頭痛持ちの方は、この夏の暑さを契機に頻度が多くなっていませんか?これもマスク着用の影響によるものかもしれません。

 

「マスク頭痛」はなぜ起こるのでしょう?

 暑さで頭の血管が拡張

 片頭痛をはじめ頭痛の原因として、頭の血管の拡張があります。血管は冷えると収縮し、温度が上がると拡張する傾向があります。

 マスクを着用していると、体温が正常だったとしてもマスクの内側はすぐに温度が上がってしまいます。マスクの着用によりその内側はあっという間に室温レベルから37,8度近くまで上昇し、さらにマスク内のみならず額や首回りまで体温の上昇を認めるという実験結果があります。長時間つけっぱなしのマスクの内側は、まさにサウナ状態であり、さらには血管拡張に伴う温度上昇により顔の周囲や首まで拡大してしまうのです。

 この顔面の周囲の血管拡張が頭痛の原因なるのですが、それはなぜでしょう?

 マスク内にこもった温かい空気が呼吸をしづらくしてしまうのはなんとかわかりますね。息苦しくなるので、それゆえに人は自然に大きく呼吸するようになります。深呼吸により、体内にマスク内の温かい空気が一気に入り込み体を温めると同時に、胸の大きな筋肉を動かした結果、体が熱を生み出して吐く息の温度はさらに上昇します。温かい呼気がのどから口の周りの血液量を増やし、さらに頬から顔面全体、そして脳の血管も温まって拡張するので片頭痛につながってしまいます。

お化けより怖い熱中症

暑い時期に気をつけたいのが、熱中症による頭痛。先日のコラムにも書きましたが、熱中症で頭痛が起こるのはⅡ度(中等度)以上で、片頭痛のようなズキンズキンする頭痛になります。https://kameido-brain-spine-cl.com/blog/今年の夏はおばけよりも熱中症が怖い/ ‎

マスクを着けて外を歩いていると、暑い日差しで外から体が温められると同時に、マスク内換気により体の中も温かくなるので、いつもより熱中症になるスピードが早くなります。

 熱中症を予防するには、「のどが渇いた」と感じる前に水分と塩分の補給をすることです。「汗をたくさんかいた」、「のどが渇いた」と感じたときには、すでに血管の中の血液がドロドロになっていることも多く、脱水の傾向になっています。そして、熱中症で頭痛になったときはすでに危険な状態になっている可能性がありますので、早めに受診するようにしてください。

二酸化炭素は血管を広げます 

 マスクを着用していると、自分の吐いた息をまたすぐに吸うことになります。呼吸は二酸化炭素を吐いて、酸素を吸って体内に取り込むことの繰り返しです。酸素を吸おうと思っても、マスク内は二酸化炭素多めの状態です。結果として、吐いた二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになります。

 では、二酸化炭素が体の中に溜まってしまうとどのようなことが起こるのでしょうか?

 体の中に通常よりも二酸化炭素がたまると、脳の血管が二酸化炭素過剰になってしまいます。二酸化炭素は頭の血管を拡張させる働きがあり、結果として片頭痛を引き起こしてしまうのです。

 さらにその状態が長く続くと、ナルコーシスという危険な状態になる可能性があり、意識が悪くなったり痙攣などを起こしたりします。

酸素が足りなくなるのも原因!

 その一方で、マスク着用では外から酸素が入ってこない酸欠状態にもあります。酸素濃度が通常よりも少なくなると、より多くの酸素を運んでなんとか脳に届けようとするので頭の血管は拡張します。その結果、頭痛を引き起こします。

 私自身もダイエットの一環として通っているジムで、先日マスクをつけたままジョギングしていたところ、換気がうまく行われず頭痛が起きてしまい、頭がフラフラしてしまった経験をしました。

皆さんも気をつけましょう。

 マスクのゴムも頭痛の種

 さらにはマスクによっても、頭痛が起こす可能性があるということがわかっています。マスクをするときに、両耳にマスクのゴムをかけることになりますが、マスクのサイズが合わなかったりすると耳が強く引っ張られることがあります。耳についている筋肉には側頭筋という頭の側頭部についている筋肉があります。ゴムをかけていると、その側頭筋が引っ張られて負荷がかかり、さらにはアゴや首回りの筋肉にも強い負担がかかるようになります。結果として、筋肉の血流が悪くなり、アゴまわりのしびれや強い首のこりが引き起こされることになるのです。こういった頭を支えている筋肉の血流障害が、頭痛の原因になるのです。

 

マスク頭痛を防ぐのは?

どういう人がマスク頭痛になりやすいのでしょうか?

 マスクをつけていても誰もが頭痛になるわけではありません。私たち医療従事者も、ほぼ1日中マスクをつけておりますが、頭痛になる人はそれほど多くはいません。

 ただ先ほども書きましたが、自分の場合もジムでジョギングするなど普段やらないようなことをすると頭痛になってしまいました。

 

 おそらく次にあげる項目に当てはまる人が頭痛になると考えます。

・長時間暑い中で過ごしている方(熱中症の危険もあります)

・不織布マスクなど外気を遮断できる性能のよいマスクをしっかり着用している方

・これまであまりマスクをつける習慣のなかった方

・マスクをつけた状態で、たくさんお話をしたり動いたりする方

いずれかの項目に当てはまる人がいたら、頭痛の原因はマスクにあるかもしれません。

 マスクを外して予防

 最近やっと外出するときに、人の少ないところではマスクを外してもよいというお達しが厚生労働省よりありました。

 

<屋外>
○マスク着用を推奨
 他者と身体的距離(2m以上を目安)が確保できない中で会話を行う場合のみです。
○それ以外の場面については、マスクの着用の必要はありません例:公園での散歩やランニング、サイクリング/徒歩や自転車での通勤、屋外で人とすれ違う場面)。
  特に夏場については、熱中症予防の観点から、屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すことを推奨します。
<屋内>
○マスク着用の必要がない
 他者と身体的距離が確保できて会話をほとんど行わない場合(例:距離を確保して行う図書館での読書、芸術鑑賞)のみ。
○それ以外の場面については、マスクの着用を推奨します。

厚生労働省HPより抜粋

 

 外出しているときには、少しでも良いので人の少ないところでマスクを外してマスク内の換気をおこないましょう。口のまわりの温度が下がり、さらには酸素をしっかり取り込むことができ、体内にたまっていた二酸化炭素濃度も減ります。

 熱中症にはもちろん注意しましょう。直射日光で頭部や顔面の温度が高くなると熱中症による片頭痛を起こしやすくなります。

 

 マスクをつけるのが当たり前になっている今、誰もが頭痛を患う可能性があります。マスクのつけ方を工夫して、マスク頭痛を防ぐことが大事です。

 ただマスク内の換気をおこなっても頭痛が続いている場合は、脳の病気になっている可能性がありますので、早めに検査を受けることをおすすめします。 

 

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