頭や顔に強い痛みを感じたら、帯状疱疹も疑いましょう|亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~|亀戸の脳神経・脊髄クリニック

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頭や顔に強い痛みを感じたら、帯状疱疹も疑いましょう

みなさんは、昔水疱瘡(みずぼうそう)になったことがありますか?

水疱瘡の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスですが、このウイルスはいったん感染すると水疱瘡が治った後も体の中に潜み続けています。

そのウイルスが、加齢、疲労、ストレスやちょっとした風邪で免疫力が低下すると、再び活性化し、帯状疱疹として体の表面に姿を現します。

秋から冬になると患者が増える水疱瘡とは反対に、帯状疱疹は夏場に増えると言われています。

 

CMで「50歳になったら」みたいな表現がありますが、それはその歳になると、いろんな原因で免疫力が低下しやすくなって、帯状疱疹にかかりやすくなってしまうということです。

実際日本で行われた調査では、50歳以上で帯状疱疹の罹患率が急に上昇しているという報告があります。また昨今、コロナ関連で、コロナやコロナワクチンと帯状疱疹との関連性が言われていますが、調べると現時点ではまだはっきりしていません。

 

どういう人が帯状疱疹になりやすいのか? 

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが神経の中に潜伏していることで起こります。

ですので、水疱瘡にかかったことがなければ発症しません。

ただ日本での調査で、だいたい15歳までに9割の人がウイルスの抗体を持っていることがわかっていますので、抗体があるということはほとんどの人が水疱瘡にかかっているということになります。

一度帯状疱疹になると、ウイルスの抗体をしっかり獲得することになり、その抗体はしばらく保有されますから、しばらくの間は再度かかることはありません。

1年以内にかかることは非常にまれですが、その後の経過で再発した人は約6%いると報告されています。

 

帯状疱疹は、どんな症状を出すのか? 

水痘・帯状疱疹ウイルスは脊髄神経に近いところに潜んでいるとされています。

ですので、脊髄神経から分岐する肋間神経、頚髄や腰髄神経根に沿って発症しやすくなっています。

神経は左右に分かれていますので、胸やおなか、背中の片側に帯状に痛みや発疹がでたり、片方の手もしくは足に症状が出現します。

 

脳神経外科で関連する症状としては、頭の後ろの神経(後頭神経)に沿った激痛です。首の2番目もしくは3番目の神経から分岐した神経が罹患した場合に、首から後頭部、そこからおでこに向かって強い痛みが出現し、時間経過とともに発疹がでるようになります。

また顔の感覚神経である三叉神経顔面神経聴神経などの脳神経に沿って出ることがあり、その場合は目や耳、顔の動きなどに後遺症を残すことがあります。

 

神経痛ですので、結構な痛みになり、人によって「針でさされたような」「釘を打たれたような」「強烈な電気を流されている」「火傷(やけど)をした感じ」という表現される方がいらっしゃいます。

発疹が出ても、髪の毛の中ならば隠れてしまうので気づかないこともあります。

発疹が見つかれば比較的に容易に診断がつきますが、痛みなどの皮膚の感覚異常は、発疹が出るよりも1週間ほど前から出現するので、その段階で来院される方の場合、なかなか診断をつけるのが難しくなります。

 

帯状疱疹の痛み以外の症状は?

顔に発疹がでる場合は、おでこから目にかけて、あるいは鼻の横あたりに片側に出現することが多くなります。

注意しなければいけないのは目に近いところに出た場合は、「眼部帯状疱疹」と言い、早い段階で目の充血を認め、角膜炎や結膜炎などの症状を引き起こします。

早めに眼科を受診しましょう。

 

また耳の近くに発疹が出た場合には、その近くになる顔面神経や聴神経が罹患している可能性が高くなります。

耳周囲の発疹や水ぶくれ以外に、発疹のある側の顔面の麻痺や難聴、めまいが出現します。

これは「耳性帯状疱疹」と言われ、「ラムゼイ・ハント症候群」と名づけられています。

発疹に加えて難聴や耳鳴り、めまいが出現した場合は耳鼻咽喉科を、顔面麻痺が出ていれば脳神経外科もしくは脳神経内科を早めに受診するようにしましょう。

 

帯状疱疹後神経痛とは何?

帯状疱疹の後遺症でやっかいなのは、帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia/PHN)です。

これは、帯状疱疹患者の10~50%に出現する長期にわたる痛みの後遺症です。

高齢の方ほど起きやすいとされており、「焼けたような」「ズキズキする」痛みが数か月から数年継続します。アロディニアと言われる、服が触っただけでも痛いような症状になることもあります。

帯状疱疹を疑った場合は早い段階で受診して、治療を開始することが大切です。

最近は、そのような痛みに対して効果的な薬が出ています。

また内服でなかなか改善しない場合には、ペインクリニックを紹介することも可能です。

 

当クリニックでの診断のしかた

当院では、診断の仕方として発疹がある場合には、簡易的な検査キットを用いて数分で診断することができます。

3割負担の方であれば、1150円かかります。

 

また発疹がなく、持続的な痛みが頭にある場合は頭部MRI画像検査および血液検査(水痘・帯状疱疹ウイルス抗体検査)を行うこともあります。

 

髄膜炎を疑った場合に、腰に針をさして脳脊髄液を採取する検査(腰椎穿刺)を行うことがあります。

申し訳ありませんが、当クリニックでは、その検査はおこなっておりません。

帯状疱疹の場合は、髄液を採取しても見た目で診断をつけることは難しく、また当クリニックの場合は検査結果に数日かかることから、迅速に診断をつけるために病院を紹介するようにしています。

 

帯状疱疹ではどのような治療をするのか?

帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬を早い段階で開始することが大事です。

1週間の内服を行い、痛みが強い場合は痛み止めを使用します。

発疹に対しては軟膏を使って化膿防止につとめることが大事です。

 

重症化した場合には、入院の上点滴治療をおこなうことが必要になります。

特に顔や頭の表面の痛みや発疹以外に熱発や頭痛(髄膜刺激症状)がある場合は、帯状疱疹髄膜炎(無菌性髄膜炎)を引き起こしている可能性があるので、すぐに治療を開始する必要があります。

当院でもこの1年間で数人、頭痛で来院された患者さんで髄膜炎を疑って大学病院や総合病院を受診していただいたら、水痘・帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎で入院治療となったことがありました。

 

帯状疱疹は予防が大切

帯状疱疹は早めの治療が大事ですが、ワクチンによる予防も可能です。

水疱瘡で獲得したウイルスに対する抗体が低下して、帯状疱疹にかかりやすくなるのが50歳前後です。

下がってきた抗体をワクチンで上げれば、かかる可能性が下がります。

もちろん、大人になって帯状疱疹にかかった場合は、十分に抗体がある可能性が高くなっていますが、それでも免疫力が低下して抗体価が下がってくると、再度かかる可能性がありますので、時間をおいて接種することが大事です。

 

ワクチンには2種類あります。

弱毒性水痘ワクチン(生ワクチン)組み換え帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)で、当クリニックで採用しているのは後者になります。

予防効果としては、前者が69.8%に対して、後者の方が96.6%と長期予防効果は高く、また妊娠されている方や免疫抑制のある方などのハイリスクの方は弱毒性水痘ワクチンを打てません。

また帯状疱疹後神経痛に対する予防効果も、弱毒性水痘ワクチンが60歳以上で66.5%に対して、70歳以上で85.5%と高くなっています。

 

当クリニックでの値段:

組み換え帯状疱疹ワクチン 22000/回(自費) *2か月~6か月の間で2回接種が必要

筋肉注射になります(コロナワクチンと同様)

副反応:注射部位の腫れや発赤、痛み(数日で改善)

    発熱や頭痛など

またワクチンアレルギーを起こしたことがある人や発熱(37.5度以上)、急性疾患にかかっている方は打てません。

 

 

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