めまいには怖いめまいもあります
- 2024年7月27日
- めまい
今日はめまいについて書いてみたいと思います。
自分も数年前に大きなめまいを患い、そのときは立ち上がることもできず、布団の上に倒れっぱなしの状態でした。目を閉じていてもぐるぐる回っていて、目を開けようものなら遊園地のコーヒーカップに乗っているような猛烈な景色の動きと吐き気に襲われるという状態でした。話すこともできるし、手足の動きも普通だったので、自己判断(!)で寝ていれば大丈夫と思い、2日間何もできない状態でしたが、徐々に動けるようになってきました。しかし、今考えるとじっとしていてもしばらくは改善せず、後述する良性発作性頭位めまい症とはやや異なる感じがします。やはり早急に病院に行くべきだったなと今になって反省している次第です。
さて、めまいの種類は大きく分けると、目がぐるぐるまわるように感じる回転性めまいと、ふわふわするように感じる浮動性(浮遊性)めまいの2つがあります。
回転性めまい
この場合、目の前の景色が大きく回転しているように見える場合もあれば、体が横方向にぐわんと回っているように感じる場合もあります。少ないですが、縦方向に回転を感じることもあります。回転も何回か1回転する人もいれば、半回転や1/4回転で終わってしまう人もいますし、片側に引っ張られるように感じるだけの人もいます。最後の片側に引っ張られる場合は、歩いていて一方向によろけるようになり、まっすぐ歩くのが難しくなりますが、大きく回転している人の場合は歩くこと自体がなかなか困難になり、横になって治まるのを待つしかありません。
回転性めまいはたいてい一定期間だけ続き、その後は治まってしまうのが一般的ですが、脳梗塞や脳出血のような脳の病気の場合は、数日間続くこともあります。
浮動性(浮遊性)めまい
ふわふわと浮いているように感じるめまいです。ふわふわ以外にふらふらする、頭が安定しない、頭が左右前後に揺れるというような言い方をされる方もいます。なんとなく始まって、気づいたら治まっているというような場合が多く、ただそれが繰り返されて数か月、数年と続く場合も多くあります。じっとしているとき、同じ姿勢でいるときに起こる場合や、歩いているときに起こる場合と様々な場合があります。また高齢の方の場合は、比較的長く継続するという特徴があります。
回転性めまいの原因
回転性めまいの場合は、主に耳自体もしくは耳に近い脳や聴神経(耳の脳神経)に原因があって起こることが多く、脳神経外科・脳神経内科もしくは耳鼻咽喉科で対応することがほとんどです。
以下に各科で対応する病気について列挙します。
脳神経外科・脳神経内科
・脳梗塞(小脳梗塞、脳幹梗塞など)
・脳出血(脳梗塞と同様に、小脳や脳幹の出血など)
・脳腫瘍(小脳や脳幹の腫瘍、聴神経腫瘍など)
ここに挙げた病気は、頭蓋骨の中でも後頭部にある後頭蓋窩という狭い部屋で起こる病気で、すぐ隣に耳があります。また聴神経腫瘍は聴神経という耳の腫瘍に直接腫瘍ができてしまう病気です。
耳鼻咽喉科
・メニエール病
・突発性難聴
・前庭神経炎
耳鼻咽喉科領域のめまいの場合は、耳の機能自体の問題も生じることが多くあります。耳が聞こえにくい(難聴)や耳が詰まった感じがする(耳閉感)、耳鳴りなどがそうです。また前庭神経炎に関わる前庭神経というのは聴神経の一部で、この場合は耳の症状はなく、めまいのみを生じることが一般的です。
良性発作性頭位めまい症
最後に両方の科で対処可能な病気として、良性発作性頭位めまい症(BPPV)という病気があります。めまいの原因として最も多く、特に女性や高齢者に多くみられます。これには2つの場合があり、頭位、つまり特定の頭の位置をとることでめまいが誘発される場合と、頭を動かしたときにめまいが生じる場合とがあります。前者は、右に寝返りをうつとめまいが生じるが、左にうっても大丈夫だったという場合.、後者は少しでも頭を動かすと動作自体によりぐるぐるし出すような場合です。急な動きをすると目が回るけど、ゆっくり動かすと生じないということもあります。1回1回のめまいは長時間継続することはなく、数十秒で治るか、もしくは頭を動かさなければ治まってきます。またこのめまい症の場合は、耳の聞こえが悪くなるとか耳鳴りが起きるといった症状が起こることはありません。
浮動性(浮遊性)めまいの原因
ふわふわするめまいである浮動性(浮遊性)めまは、脳に十分に栄養がいかなくなることによって起こることが大半です。この場合の栄養とは、酸素や糖分、ホルモンを含んだ血液です。
血液が脳に行き渡らなくなる原因を挙げると以下のようになります。
脳の病気
・動脈硬化などにより脳の血管が細くなる、最終的には脳梗塞
・脳出血
・脳腫瘍
・てんかん
血液(栄養)が少ない
・貧血、低血糖(糖尿病)、低酸素血症、甲状腺の病気、月経、妊娠
血液を送る心臓の問題
・低血圧、不整脈
低血圧について心臓の問題以外に、高血圧の薬や前立腺肥大の薬などが原因となることがあります。この場合は、薬を中止するもしくは変更することで改善することがありますが、必ず処方してくれた医師に相談するようにしてください。
血液の流れが悪くなる
・首のこりや肩こり(頚肩腕症候群)
そのほかに心因的なものもあり、過換気症候群(この場合、末梢血管が細くなります)、パニック障害、不安や抑うつでも起こります。
めまいが起きたら、何科を受診すればいいのか?
前述のように、大部分のめまいは脳もしくは耳に原因があると考えられます。
脳梗塞や脳出血は治療が遅れると、命に関わることも重篤な後遺症を残すこともあります。、めまいとともに、以下のような症状があれば脳神経外科・脳神経内科を受診してください。
・頭痛や首の痛み
・手足の動きがおかしい、力が入らない
・体半分の感覚がおかしい、しびれている
・ろれつが回らない、しゃべりにくい
・物が二重に見える
・意識がもうろうとする、
特にめまいを訴えた後に、急激に意識が悪くなったり、体を動かすことができなくなったりした場合は一刻も早く救急外来を受診、もしくは救急車を要請することが必要です。
まためまいとともに、耳の症状を合併するようであれば耳鼻咽喉科を受診してください。
・難聴、耳が聞こえない
・耳がつまったような感じがある(耳閉感)
・耳鳴り
当院での検査
当院では脳の病気がないかを画像検査で調べることができるほか、血液検査や心電図検査で貧血やホルモンの異常の有無、不整脈がないかを調べることができます。まためまいに加えてふらつきもある場合は、重心動揺計という特殊な機械を使用して、ふらつきの原因が脳、耳、脊髄などのいずれの部位に原因があるのかを相対的に精査することができます。
・頭部MRI/MRA
・頚椎MRIおよびレントゲン
・血液検査(検査結果については後日の説明になります)
・心電図
・重心動揺計
重心動揺計については、めまいが完全に落ち着いている場合には行わず、症状が少しでもある場合に検査します。
また耳鼻科受診を希望される場合には、MRI検査と合わせて紹介状を記載することも可能ですので、お申し付けください。