危険な頭痛かどうかの見極め
- 2023年1月17日
- 頭痛
冬は寒さも影響して、脳卒中が起きやすい季節です。
私たち脳神経外科医も、この時期は普段以上に忙しくなります。
今回は自分の頭痛が危険な頭痛かそうでない頭痛なのかをおおまかに予測するポイントについて解説します。
一次性頭痛と二次性頭痛
頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2つに分類されます。
一次性頭痛とは、
少なくとも頭の中、つまり脳や脳血管に原因となる疾患がない頭痛であり、片頭痛や緊張型頭痛(肩こり頭痛)などが含まれます。
一方、二次性頭痛とは、
頭痛の原因となる何らかの病気が脳や脳血管にあるために発症した頭痛のことであり、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍や髄膜炎などの緊急性が高く命にかかわる可能性のある疾患が含まれます。
したがって、大事なことは皆さんの頭痛が二次性頭痛かどうか、そうでない一次性頭痛かを見極めることなのです。
もし、二次性頭痛の可能性が少しでもあるならば、ただちに手術や入院治療の可能な専門病院に紹介することが大切です。
二次性頭痛かどうかの判断
二次性頭痛かどうかは、頭部画像検査や問診、神経診察を行うことで診断がつく場合が多くあります。
ただそれ以前の皆さんの状態から、ある程度二次性頭痛を疑うこともできます。
「頭痛の診療ガイドライン2021」では次の場合においては、二次性頭痛を疑って積極的に検査をする必要があると書いてあります。
①発熱を含む全身症状がある場合
②がんなどの病気の既往がある場合
③意識状態の低下、麻痺やろれつが回らないなどの症状がある場合
④突然の頭痛や急な頭痛、特に1分以内に痛みがピークに達するような痛みの場合は要注意です
⑤50歳以降に発症する場合
⑥最近発症した今までに経験したことのない頭痛
⑦姿勢によって変化する場合
⑧くしゃみや咳、また運動により誘発される頭痛
⑨視力の低下を伴う場合
⑩頭痛やそれに伴う症状が進行する頭痛
⑪妊娠中または産褥期の頭痛
⑫涙が出たり鼻水がでたりするような自律神経症状をともなう目の痛み
⑬外傷後に発症した場合
⑭HIVなどの免疫に異常を呈する病気をもっている場合
⑮鎮痛剤を多量に使用している場合や新規に薬剤を使用した場合
言い換えれば、これらに当てはまらないような頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛のような慢性的な頭痛の可能性が高くなります。
例えば、上記④のような突然の痛みは、片頭痛や緊張型頭痛ではあまり起きません。片頭痛や緊張型頭痛では、これまでと同様に同じような頭痛を繰り返しているはずですし、痛みもじわじわ強くなっていくパターンがほぼです。
しかし、注意しなければいけないのは、こういった一次性頭痛に加えて二次性頭痛が合併する(ほぼ同時に発症する)場合もあり、その場合は頭痛の頻度や重症度が倍以上になることもあります。
やはりいつもと異なる痛みの症状を呈しているのならば、早めに検査をおこなうことが大切であるともガイドラインに記載されています。