片頭痛ならば、予防のためのクスリがあります
- 2022年6月5日
- 頭痛
当クリニックに片頭痛で来院される患者さんは、20代から50代が多く、一般的な片頭痛の統計データと差はあまりありません。男性にくらべて、女性の方が多い傾向にあります。
仕事や学業、子育てなどをバリバリにしている年代ですが、時に襲ってくる片頭痛の強い痛みに悩まされて、トータルにして1日から数日間を何もできずに過ごされると訴えられています。
15歳以上を対象とした日本の全国調査によると、片頭痛患者は日本人の8・4%とされています。これはあくまでも医療機関を受診してきちんと診断された人のデータで、当クリニックに来られる方の中には頭痛があっても普通の鎮痛剤や風邪薬でなんとかしのいでいる方もいらっしゃいました。おそらくこのように診断されていない人もいることから、実際にはもっと多くの人が片頭痛を発症しているのではないかと考えられています。
先ほど述べたように20代~50代の働き盛りの世代に多いのですが、それ以外の年代でも最近は小児の片頭痛も実は多いのではないかと報告されています。頭痛のために授業に集中できず、繰り返す頭痛のために学校にも行けてないお子さんがいます。
男性より女性の方が約4倍多いこともわかっており、私見ですが片頭痛の治療がされていないことが、一部の女性の社会での活躍を阻んでいるのかもしれません。米国などのデータでも、学校生活や仕事、子育てへの影響が大きいことが、膨大な経済的損失をもたらしているとされています。
片頭痛が起きることを、私たちは「片頭痛発作」と呼んでいます。心臓発作などでも用いる発作という言葉が示すとおり、痛みの程度としては非常に強く、市販の鎮痛剤では痛みが抑えられないことも多くあります。
薬が効かないからといっぺんに飲む薬の量を増やしたり、頻回に薬を服用したりすると、それが頭痛の原因になる場合もあるので注意が必要です。きちんと治療されていない頭痛患者の中には、そういった薬剤性頭痛(薬剤乱用頭痛)を患っている人が決して少なくありません。月に10日以上頭痛薬を飲んでいる方は注意が必要です。
当クリニックで行う頭痛の治療としては、まず頭痛自体に関する問診だけでなく、普段の生活の仕方、仕事の内容などを伺い、さらに今までの頭痛に対する対処の仕方等も聞いていきます。
大事なことは市販薬を含めた鎮痛剤を多く飲んでいた方の場合は、内服薬で起きてしまった頭痛を抑えることから始めていくということです。
発作が月に1~2回程度で、薬を飲めば治まる場合は、そのままの治療を継続していきます。痛みが激しく、発作の頻度が月に2回以上あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合は、予防療法の適応になります。
予防療法では、現在の発症抑制薬に加え、新しいタイプの注射剤も使用可能となりました。片頭痛に対する効果は比較的良好で、日常において頭痛の頻度が減ることで、皆さまの生活の質は向上しているようです。
当クリニックでは、この注射療法を受けることが可能です。とくに、発作がいつ起こるかと不安で予定が立てられないなど、日常生活や仕事に支障のある人は、こういった予防療法を検討してみてください。