突然に激しい頭痛が出た時は要注意です!
寒い日が続いていますね。
みなさん、温かくして過ごしていますでしょうか?
今日は、前回に続いてこの時期発症しやすい脳の病気に関連するお話をしたいと思います。
前回を読んでいない方は、ぜひ一読を。
頭痛には、脳や脳血管に異常をきたす「二次性頭痛」と頭痛自体が疾患の中心である「一次性頭痛」の二つに分けられると以前に話をしました。
この二つの頭痛を鑑別するために、頭痛の発症の仕方が「突然に起きた」のか「じわじわ、徐々に強くなってきた」のかという質問がとても大切になってきます。
二次性頭痛の中で、特に怖いのがくも膜下出血です。
くも膜下出血の原因のほぼ8,9割は、脳動脈瘤(血管のコブ)の破裂によるものとされています。
脳血管にできた動脈瘤が破裂して、動脈性の出血が生じることであっという間に多くの出血がくも膜の下にあるくも膜下腔というスペースに流れだしてしまいます。
脳のまわりにあるくも膜下腔が大量の血液で満たされて、早期に脳を強く圧迫してしまうので、その転帰は不良です。
総死亡率は25~53%と言われています。
その中でも、初回の出血よりも再出血の方が命にかかわる、もしくは重篤な後遺症を残すと報告されています。
ですので、最初に「突然の激しい頭痛」を自覚したら、すぐに画像検査を受けることのできる専門病院を受診して、治療を受けるようにしてください。
前述しました「突然の激しい頭痛」というのがポイントになります。
さらには「今までに経験したことのないような激しい頭痛(worst headache of life)」とか「バットで頭を叩かれたような頭痛」、「雷に打たれたような頭痛」という表現もこれまでに使われてきました。
雷鳴頭痛(thunderclap headache)とも言われます。
この雷鳴頭痛は、頭が痛くなってから1分以内に痛みのピークに到達するという定義があります。
くも膜下出血以外にも動脈解離や脳内出血、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)なども雷鳴頭痛の原因として挙げられます。これら二次性頭痛以外に、一次性頭痛でも、咳に伴う頭痛や性行為に伴う頭痛も雷鳴頭痛を引き起こします。
・突然に発症した
突然発症であった場合、そのときにどのような行動をとっていたか答えることができます。
「お茶を飲んでいるときに、痛みがでた」
「トイレで用をたしているときに痛くなった」
このような返事になります。
あるいは正確に時間を答える患者さんもいます。
「痛くなったときに、時計をみたら9時37分でした」
という具合です。
・これまでにない頭痛
もともと片頭痛の既往がある場合、いつもの頭痛と思ってしまうこともあるかもしれません。ただ脳の病気の場合は、これまでにない痛みとなって出現します。
以下のように、これまでと違う頭痛であった場合はすぐに画像検査のできる専門機関を受診してください。
⑴痛みの強さが、今までの頭痛と違って何倍も痛い場合
⑵痛みの出方がいつもと異なる場合
例えば片頭痛の前兆として知られる目の前がチカチカする症状(閃輝暗点(せんきあんてん))が、閃輝暗点が起きて頭痛が起きるという順番ではなく、頭痛の発症とほぼ同時に閃輝暗点が生じた場合は、くも膜下出血の可能性があります。
⑶痛みと同時に嘔吐したり、意識が悪くなる、めまいや麻痺が出るなどの神経症状を合併した場合
⑷痛みの場所がいつもの場所だけでなく、頭全体的な痛みだったり首の後ろの痛みだったりする場合
もちろん、軽い痛みだったとしても突然発症であった場合や、逆に突然発症でなくとも激しい痛みがある場合も、脳の検査をすることが大事です。
内服薬や寝込むだけで様子をみるだけでなく、早めに受診することを心掛けてください。