脳梗塞に気をつけましょう
- 2022年11月28日
- 脳卒中
こんにちは、亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~院長の田宮です。
今年も残すところ、あと1か月。
みなさんは、今年の目標を達成できたでしょうか?
今回は「脳梗塞」についてお話したいと思います。
脳梗塞というのは、脳を栄養する動脈血管が詰まってしまい、脳細胞が壊死してしまう病気です。
その結果、手足の麻痺やろれつ障害、失語症、意識障害などの症状が出てしまいます。
脳梗塞の範囲が広い場合には、命にかかわることもあり、また重篤な後遺症を残す可能性もあります。
顔(F)や手足(A)の半身に力が入らない場合、言葉(S)がうまく話せない場合 は、すぐに(T)救急要請しましょう:FASTと覚えましょう。
なぜ、脳梗塞が起きてしまうのでしょうか?
私たちの血管には、加齢およびその他の原因によって動脈硬化という現象が生じます。
血管の壁に老廃物(以下プラークといいます)が付着してしまうために、動脈血管の壁が硬くなってしまうので、そのように呼びます。
このプラークが付いてしまった分だけ、血管の中を流れる血液の通れる道が狭くなってしまい、それが脳に悪い影響を与えてしまうのです。
そして、その狭くなった箇所で詰まってしまうと、脳梗塞になってしまいます。
動脈硬化から脳梗塞になってしまう理由
動脈硬化があるからといって、すぐに脳梗塞になるわけではありません。
脳梗塞の原因としては、次の3つの場合があります。
⑴脳血管の狭窄が進行したり閉塞したりした場合
先ほども述べたように、動脈硬化が進行していく過程で血管の壁にプラークがどんどん付着していきます。
そこで完全に詰まってしまったときに、その箇所よりも末梢に血液が流れなくなり、脳梗塞になってしまいます。
これを専門的にはアテローム性脳血栓症といいます。
脳梗塞の既往がある場合や動脈硬化による血管の狭窄が著しい場合には、血液をサラサラにする抗血小板剤という薬の内服が必要になります。
⑵脳血管により大きな物(塞栓)が詰まった場合
不整脈により心臓でつくられてしまった血栓(塞栓)が血管を詰めてしまう場合に脳梗塞が起きます。
もちろん、この場合も動脈硬化のある場所で詰まりやすいのですが、血栓があまりにも大きいと、目立った動脈硬化のない血管でも詰まってしまい、広範囲の脳梗塞をきたしてしまうことがあります。
これを脳塞栓症といいます。
心房細動という不整脈がある場合には、血液をサラサラにする抗凝固剤という薬を飲む必要があります。
⑶十分な血液の流れ(血圧、血液量)が維持されていない場合
血行力学的脳梗塞ともいいます。
心臓などの病気があり血圧が下がった場合や脱水や貧血などにより血液の流量が減った場合などが原因として考えられます。
この場合、脳血管に異常があるというよりも、その手前の全身状態に異常があるといった方がわかりやすいと思います。
ただ、この場合も動脈硬化がある場合の方がより重篤になりやすく、また脳血管だけでなく、例えば心筋梗塞のように心臓などの動脈硬化が原因となっていることもあります。
脳梗塞を予防するにはどうすればいい?
まずは生活習慣病の予防をきちんとおこないましょう
予防としては、動脈硬化を防ぐために高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)、糖尿病に注意することが必要です。
そのためには定期的に血液検査をおこない、異常値があれば早めに治療を開始することが大切です。
また水分摂取をしっかりおこなうことが大切です。
汗をかく夏場はもちろんですが、暖房をつかったり空気の乾燥しやすい冬も十分に水分をとるようにしましょう。
心臓がドキドキする場合は注意が必要です
心電図の検査で心房細動などの不整脈を指摘されている場合には、その治療が必要です。健康診断で、血液検査とともに心電図検査もおこなうようにしましょう。
当院でも、動脈硬化予防のために血液検査および心電図検査をおこなうことができます。心配な方は、お申し出ください。
動脈硬化は進行性の病態ですので、脳梗塞予防のための血液サラサラの薬は飲み続けることが大事です。
抜歯などの治療で休薬が必要になった場合には、必ず当院に確認をとるようにしてください。