脳梗塞の症状・原因・検査・治療・予防まとめ
- 2025年4月9日
- 脳卒中
こんにちは。亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~の院長の田宮です。
今回は「脳梗塞」について、わかりやすく解説いたします。
脳梗塞は命に関わる病気であり、後遺症が残る可能性もありますが、早期発見と予防で大きくリスクを下げることができます。またこれまで当院に来院された患者さんで、一時的に症状が出たので検査をしたら、実は脳梗塞だったという場合もあり、幸い早期に薬を開始したことにより大事に至らなかったこともあります。
この記事では、以下の5つのテーマに分けてご紹介します。
- 脳梗塞の主な症状
- 脳梗塞の原因
- 脳梗塞の検査方法
- 脳梗塞の治療法
- 日常生活での予防のポイント
脳梗塞の主な症状とは?
脳梗塞の症状は、突然現れることが多く、以下のような症状が代表的です。
- 片側の手足や顔が動かなくなる・しびれる(半身麻痺)
- 言葉が出てこない・ろれつが回らない(言語障害)
- 片目が見えなくなる・視野が欠ける(視覚障害)
- ふらつく、歩けない(運動障害・バランス障害)
- めまい(ぐるぐる回る、ふわふわする)(平衡感覚障害)
- 自分の言動の記憶がない(記憶障害)
- 突然の激しい頭痛(まれに)
これらの症状が出たら、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。救急車を呼ぶことが難しい場合は、頭の検査をしてくれる病院やクリニックにすぐに駆け込むようにしてください。とにかく時間が勝負の場合がある病気です。
上の図:顔(F)や手足(A)の半分に力が入らない、しびれが出た場合、言葉(S)がうまく話せない場合は、すぐに救急要請しましょうという意味です。時間(T)が大切ということで。FASTと覚えましょう。
脳梗塞の原因について
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が止まり、脳の一部が壊死してしまう病気です。原因には4つのタイプがあります。
① ラクナ梗塞
高血圧や糖尿病が原因で、細い血管が詰まります。無症状で進行することもあります。
② アテローム血栓性梗塞
動脈硬化が進行し、太い血管に血栓ができて詰まるタイプ。喫煙や脂質異常も関係します。
③ 心原性脳塞栓症
心房細動などの不整脈により、心臓にできた血栓が脳に飛んで詰まります。突然重症化することが多いです。
④ 血行力学性梗塞
低血圧や貧血、脱水などにより脳の血管に血液が行き渡らなくなることで起きます。
脳梗塞の検査方法は?
脳梗塞の診断には、いくつかの検査を組み合わせて行います。
- CT検査:出血との鑑別に使用
- MRI検査:脳の損傷を詳しく確認
- MRA検査:脳の血管を立体的に見る
- 頚動脈エコー:首の血管(頚動脈)の狭窄の有無を確認:当院では火曜日と木曜日に行っています。
- 心電図:不整脈の有無を調べる
- 血液検査:糖尿病や高脂血症の有無を調べる
これらの検査により、どのタイプの脳梗塞か、どのような治療が必要かを判断します。
当院ではCT検査以外の検査は、すべて行うことができます。CT検査の代わりに、MRIの撮像方法でT2*強調像という条件で撮影することで出血を鑑別することができるようにしています。
脳梗塞の治療方法
発症から4.5時間以内もしくは1日以内の急性期治療
- t-PA静注療法:血栓を溶かす薬で血流を回復(発症から数時間以内が有効)
- 血管内治療:カテーテルを使って血栓を除去(発症から1日以内でも治療可能な場合がある)
早期に治療を開始できれば、後遺症を大きく減らせます。とにかく、発症間もない麻痺などの症状がある場合は、救急車を呼んでこれらの治療ができる総合病院や脳神経外科専門病院を受診するようにしてください。
慢性期(回復期)以降の治療:発症から数日経過した脳梗塞の治療
- 抗血小板薬・抗凝固薬:再発予防のために内服治療です。脳血管に原因がある場合は血小板剤、不整脈などの心臓に原因がある場合は抗凝固剤を内服するようになります。また発症して間もない場合は、抗血小板剤2剤内服することもありますが、症状が落ち着いたら1剤に減量して維持していきます。
- リハビリ:麻痺や言語障害の改善を目指す。当院にはリハビリ施設がないので、介護保険を申請の上紹介することになります。
- 生活習慣改善:根本的な再発予防に不可欠。特に高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病がある場合は、その治療がとても大事です。
脳梗塞の予防:日常生活で気をつけたい6つのこと
- 血圧管理:高血圧は最大のリスク因子
- 糖尿病・脂質異常症の治療:定期的な健診を行い、異常値を指摘されている場合は早急に治療を開始
- 禁煙・節酒:血管への負担を減らす。喫煙は百害あって一利なし
- 適度な運動:毎日のウォーキングがおすすめ
- バランスの良い食事:減塩・低脂肪・野菜中心
- 心房細動の管理:絶対に早めに治療を受けましょう。放置していていいことはないので、心配なら心電図をおこないます
まとめ:脳梗塞は予防と早期対応が鍵です
脳梗塞は誰にでも起こりうる疾患ですが、早期の気づきと普段の健康管理でリスクは確実に減らせます。
MRIおよびMRAを行い、動脈硬化で細くなっている血管を発見できた場合は未然に脳梗塞を防ぐことができる第一歩です。
当院ではMRIなどの各種精密検査や、生活習慣病に対する予防的アドバイスも行っております。
「ちょっと気になる症状がある」「脳梗塞が心配」という方は、お気軽にご相談ください。