鎮痛剤を飲みすぎたことで起きる頭痛~薬剤乱用頭痛~
- 2022年9月11日
- 頭痛
みなさん、こんにちは。
亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~の院長の田宮 亜堂です。
今日は「薬剤乱用頭痛」についてお話いたします。
薬剤乱用頭痛とは?
頭が痛いと、頭痛薬を飲むというのはあたりまえの行為だと思います。
しかし、そういった頭痛薬の飲みすぎが、逆に頭痛を悪化させることがあるんです。
これを薬剤の使用過多による頭痛、「薬剤乱用頭痛」と言います。
よくある例としては、今まで2,3か月に1度だった片頭痛が、台風シーズンや生理が重なって回数が増えたことをきっかけに、市販の鎮痛剤を多く飲むようになってしまい、結果として鎮痛剤の飲みすぎで別の頭痛を発症してしまう場合です。
本人としては、頭痛が増えたことで、片頭痛がなかなか治らず、今まで効いていた薬なので少し多く飲めばいいだろうということで、回数が増えたり一度に数錠内服したりするようになり、悪循環に陥ってしまうのです。
どれくらい飲めば頭痛になる可能性が高いか
薬剤乱用頭痛の診断基準では、鎮痛剤を「月に10日~15日以上内服することを3か月以上続けて、その結果頭痛が頻回にある場合」とあります。
薬剤乱用頭痛の原因
市販薬には鎮痛成分以外にカフェインや鎮静成分などを含まれています。そういった余計な成分が、ときに頭痛を引き起こす可能性があります。また鎮痛剤を繰り返し服用することで、脳が痛みに対して過敏になり、ちょっとした刺激でも頭痛が起こりやすくなるという悪循環もあるのではないかと言われています。
また頭痛に悩まされている方は、今日こそ頭痛が来ないようにということで、「念のために」という気持ちで痛み止めを服用される方もいらっしゃいます。こういった予防的な内服が、薬剤乱用頭痛になるきっかけになります。
もちろん、鎮痛剤は頭痛が軽いうちに内服した方が効果的です。ただまったく症状のないときに内服することは避けた方がよいです。
首や腰、手足の痛みに対して痛み止めを服用する場合は、1日2,3回定期的に内服することが多くありますが、そういった人が頭痛持ちだった場合はやはり要注意です。頭痛が頻回になった場合は、痛み止めを変更したり制限したりすることも考えなければいけません。
頭痛に対して鎮痛剤を何度も内服している場合は、早めに頭痛外来を受診して相談してみてください。その際に、これまでにどの薬をどれだけ飲んでいたかということがわかると、より診断しやすくなります。
コロナワクチンをうつ際に多くの鎮痛剤をかかりつけ医からもらって、それを飲み続けていて頭痛がひどくなった患者さんもいらっしゃいました。
薬剤乱用頭痛の治療
薬剤乱用頭痛の場合、その鎮痛剤をやめるだけで頭痛の頻度が減る人もいます。頭痛を減らすためには、普段の頭痛が片頭痛なのか緊張型頭痛なのか、あるいは脳の病気によるものかということをしっかり診断した上で、より長時間効果のある薬や予防薬などを処方します。
そもそも片頭痛の場合は、睡眠不足や疲労、食事を抜かす、アルコール摂取などの生活習慣の問題が頭痛を引き起こします。
緊張型頭痛の場合はパソコン作業など下を向くような仕事や上半身の運動不足などが原因となっていることも多いです。
自分の生活習慣や職場環境をしっかり見直すことも必要です。
診察のときに、自分の頭痛について詳しく書いたメモや「頭痛日記」などに記載したものを持参していただけると、より診断の手助けになります。
*当院の場合、簡易的な頭痛日記を外来でお渡しすることが可能です。ぜひご活用ください。
皆さんが長い間悩まされてきた頭痛を、少しでも軽くするためにも外来でご相談ください。