片頭痛のイロハ
- 2022年7月18日
- 頭痛
こんにちは、亀戸脳神経・脊髄クリニック~あたま・くび・腰~の院長 田宮亜堂です。
今回は、最近天候不順のためか増えてきている片頭痛について話してみようと思います。
危険な頭痛とそうでない頭痛
頭痛は、大きく2つに分けられます。
脳内出血やクモ膜下出血など脳に大きくダメージを与え、時に命の危険性をはらんだり重篤な後遺症を残したりする可能性のある二次性頭痛と、そういった危険性はないものの日常生活に支障を伴うこともある一次性頭痛の2つです。
最初の診察で、このどちらなのかということをま
ずは判断いたします。意識がしっかりされて、きちんと会話ができて、手足の麻痺症状がなければ後者である可能性が高いと判断しますが、それでも頭部MRIをとって脳に異常がないことをきちんと診断しなければいけません。
片頭痛はどれくらいの人がなる?
今回お話する片頭痛は緊張型頭痛、群発頭痛とともに後者の一次性頭痛に分類されます。
日本においては、以前のブログにも書きましたが、片頭痛の有病率は約8.4%(男性3.6%、女性13.0%)と報告されております。つまり100人のうち8,9人が片頭痛に悩まされているということです。この値は海外での報告とほぼ同じくらいで、女性が男性に対して約2~3倍多いとされています。
片頭痛の治療
一般に頭痛が起きた場合は、痛み止めを飲むとか寝るとか、皆さんそれぞれの対処方法があると思います。片頭痛の治療の場合は、時にそういった治療では解決できないことがあり、その場合は急性期治療と予防療法に分類される薬を用いた治療になります。
急性期治療は、片頭痛が起きた時に痛みを抑える治療で、トリプタン(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン)が第一選択薬となります。また新しいところでは本年6月に本邦にて認可されたジタン製剤があります。
一方予防薬としてはロメリジンやバルプロ酸などが用いられており、最近で
はより予防的効果の高い注射薬が使えるようになっています。当クリニックでも使用していますが、頭痛の頻度が大きく減ったり、吐くほどの頭痛がなくなったと言われる方もいます。
片頭痛の予兆と前兆
片頭痛自体は、大まかに前兆のあるものとないものとに分類されます。前兆のある片頭痛の経過は、予兆からはじまって前兆に至り、そして頭痛が生じて、その後回復するという経過をたどります。
予兆は片頭痛発作の前に起こる体調の変化で、発作の数時間~1日または2日前に出現することが多くあります。あくび、光または音に対する過敏性、疲労感や過剰に睡眠をとったりします。集中困難や思考緩慢、肩こりなど仕事に影響するような症状を呈することもあり
ます。
たいていは前兆が終了するころから、片頭痛発作がはじまります。
前兆は、5分から20分程度、長くなると1時間くらい続きます。これは予兆とは異なり、頭痛の直前もしくは発作中に起きます。典型的な症状が視覚症状と呼ばれ、目の前にギザギザした稲光様の模様が見えたり(上図)、目の前の一部がモヤがかかったように見えにくくなったりします。閃輝暗点というワードで画像検索すると、かなりいろいろな見え方をするということがわかります。そのほか
にろれつが回らない(言語症状)、皮膚がチクチクするような感覚異常がある(感覚症状)、片目が見えにくくなる(網膜症状)、片麻痺などの運動症状も前兆として起こり得ます。
片頭痛とはどんな頭痛なのか?
片頭痛における頭痛の程度は、中等度から重度と診断基準に記載されています。一回の片頭痛発作は4時間から3日間程度持続するとされており、痛む場所としては片側のこめかみから目のあたりとされていますが、40%程度は両側とも訴えられます。痛みの性質は、脈打つような感じ、ズキズキ、ズキンズキンあるいはガンガン、ドクドクなどと表現されます。
頭痛に伴って、吐き気や嘔吐のほかに、光がまぶしい(羞明、光過敏)、音がうるさい(音過敏)、普段気にならないようなにおいがきつい(嗅覚過敏)を認めることもあります。
また階段の昇り降りなどの日常的な動作により頭痛が悪化するなども片頭痛の特徴です。ですので、多くの場合は頭痛の間は暗い静かなところでじっとしていたくなります。
当クリニックでの片頭痛治療
頭痛の診断をつける際には、問診が非常に重要になってきます。頭痛の持続時間や痛む場所、痛み方が拍動性かどうか、痛みの程度および経過、どのような症状を付随するか、前兆や予兆の有無などを詳しく伺うことになります。
また二次性頭痛を除外することが非常に大事になってきますので、血液検査および頭部MRIを必ず行うことになります。
当クリニックでは、一通りの内服治療(新しく認可されたジタン製剤を含む)が可能です。また注射治療も可能ですが、その場合は注射をおこなうことを確認した上で、次回受診の際に注射することになります。